先日Twitterでこんなツイートを見ました。
試奏料を取るお店がある!
現在元のツイートは削除されていますが、僕がチラッと見た時はたしか
「ギター試奏 15分 100円(税別)」
と書かれていた気がします。
「試奏 15分 100円」これに対してネットで賛否両論でしたね。
ネット通販楽器店(Music Life)を経営して、ギタリストとしても活動しているので楽器店・ユーザーの両方の気持ちが分かるんですが、僕の考えの結論を先に書くと「試奏料を取るのは有り」です。
今回は自分なりの考えを色々と書いてみたいと思います。
利用客「楽器の試奏料を取るなよ!この楽器店最悪だよ!」
多くの人が一度は「試奏」をさせてもらったことがあるはず。
もちろんタダで。
無料で試せていたものが有料になるのはちょっと抵抗がありますよね。
「楽器の試奏料を取るなー!」と言いたいくらい。
僕も今まで何度も試奏させてもらっていて無料なのが有料になるのはちょっと嫌です。正直ね。
試奏は楽器選びでとても大事な事なんですよね。
楽器には当たり外れがあるので、欲しいモデルで気に入れば買うし、気に入らなければ買わない。
昔に書いた「オーダーギターはやめておけ!? 「〇〇」に気をつけないと失敗するたった一つの理由。」では「最高の音が欲しければオーダーよりもお店にあるモデルを片っ端から弾いて良い個体を探しましょう」とさえ書いたほどです。
買うか買わないかは弾かないと分からない部分も大きい。(こだわる人は)
それと同時に「ちょっと弾いてみたい」という欲求も試奏では満たしてくれていましたよね。
僕も以前気になっていた「Xotic XSC-2 Allen Hinds仕様 (Lake Placid Blue/Heavy Aged)」を試奏させて頂きました。
他にも憧れのモデルをちょっとだけでも弾いてみたい。
弾いて「いつかこれ買いたい」とか思ったり。
利用客としては試奏料はないほうが助かるんじゃないかな。
・・・
でも、お店側のことを考えると試奏料を取るのも仕方ない気もします。
楽器店が楽器の試奏料を徴収するのも仕方がない
楽器店はビジネスです。
ざっくり言うと「売れないと存続できない」んですよね。
今回見た15分100円の試奏料を取るお店の言い分は分からないのでなんとも言えないですが、色々と理由が考えられます。
ドライな考え方を書いてみます。
冷やかし・試奏だけで買ってくれない
昔の自分もそうだったけど試奏だけで買わない人も多いです。
でもお店としては「売れないと存続できない」。
買ってもらえないと厳しい。
だから、冷やかし・試奏だけで買ってくれないのは売上だけで見れば何もないと同じなんですよね。
(普通に仲良くなったりなどのお店として良い部分はあるけど)
また、楽器本体に限らず機材関係でも「お店で試奏して確認をしてからネットで買う」というのも今では珍しくありません。
試奏→試奏店で購入となればいいんだけど、試奏→ネットで購入となると・・・ちょっと厳しいですよね。
試奏だけでもちょっとしたお金を徴収できれば、月に換算すればまとまったお金が入る。
試奏料を取るというのはお店がビジネスとして続けるため、生き残るためには有りな方法だと思います。
試奏で楽器に傷がついたら利益が減る
試奏させてもらう楽器は売り物です。
試奏する人間の扱い方が悪いと傷がつきます。
傷がつくと売価を下げて売らなくなります。(たしか)
「チョイキズ特価」とかありますもんね。
いつのまにかキズがついていて、「このままでは売れないな。。」となるとちょっと厳しいですよね。
仮に新品価格が10万で、チョイキズが9万だとしたら、1万の利益マイナスですし。
試奏させることによって買ってもらうという機会は得るけど、傷をつけられる可能性もあり利益が減る可能性もある。
これを補填するために試奏料を取るのも間違いではないのかも。
試奏に対応する時間と人件費がもったいない
あとは店員さんの労力を減らすというのもあるかもしれません。
試奏をするためには店員さんに言って楽器を取ってもらい試します。
僕で言えばギターだけど、話しかけて、チューニングをしてもらい、アンプに繋いでもらって、弾かせてもらう。
この時間を店員さんから奪っているのは事実です。
それが仕事ではあるんだけど、他に作業などあれば時間を奪っているんですよね。
試奏料をとることで時間の無駄にはならず、試奏の機会にセールストークも出来る。
試奏が無ければ試奏料は取れないけど、お店の他の作業を進められる。
方法としては悪くはないと思います。
昔に楽器店の試奏でバキバキに弾きまくる人を見たので試奏料は納得
10何年も前の事だけど楽器店に寄った際に凄い音が聞こえてきてビックリしたことがあります。
音の方向を見ると、アコギをバシバシ叩きまくって弾いている方が!
アコギ界隈で言う「叩き系・スラム奏法」です。
こういう感じの。(例:「アコギは叩け! パーカッシブギター完全解析 [DVD]」の動画)
その叩き系の奏法を試奏でバキバキに弾きまくっていた。
ボディも指板上のハーモニクスもパシーン!!と。
「いつもと同じように弾かないと分からない」という気持ちもわかるけど、「それ売り物やで・・・傷つかないのかなぁ」と思ったのを覚えています。
全員がこういう人とは思わないけど傷がつく可能性があるのを考えると「試奏=無料」というのは楽器店側としてはリスクが大きいのかなと思っています。
アメリカの楽器店「Sam Ash」では試奏が自由!
少し話は逸れますが、昔にバックパッカーで世界一周の旅をしていた時にアメリカのシカゴで「Sam Ash」という楽器屋さんに寄ったことがあります。
「Sam Ash」は有名な楽器屋だったので「シカゴに来たなら行きたい!」と楽しみにしていた場所。
店内で気になるギターを発見して弾かせてもらおうと思い「Can I try・・・this?」と英語ができない日本人が頑張って話しかけてみました(笑)
すると「え??」という言葉と同時に「何言ってるの?」という顔。
やべー、英語全然伝わってない。なんて言えばいいんだろう?(汗
と焦ってたら「ノープロブレム!Try Try!!」みたいな感じで言ってきてさらに
「わざわざ聞かなくていいよ!好きなのあったら手に取って試してよ!楽しんで~!^^」
と言ってきた。
「え?試奏するのに言わなくていいの?」と衝撃だった。
本当かなと思って店内を見回すと、
などなど、フリーダムな環境を目撃して「アメリカはスゴイな。ヤバイ」と衝撃&感動したのを覚えています。
こういう自由に楽器に触れられるのも楽器が浸透しやすい風土・環境を作っていってるんだろうなと。
楽器人口が増えてお互いが切磋琢磨するからこそアメリカはレベルが高いんだろうなと。
試奏自由のフリーダムな環境があるのは国民性ありき
「試奏は自由に!」となれば面白そうとも思うけど、こういうフリーダムな環境が許されるのはアメリカ人の国民性もあるのかもしれない。
多少の傷があっても気にしない人や「使えれば良くない?」という人もいる国だからこそなのかもしれない。
実際自分のお店のMusic Lifeで海外から仕入れをするとかなり雑だったり箱がボロボロになってたりすることもあった。
「箱がボロボロだしこれが売れない。交換して欲しい」というと「え?中身は使えるでしょ?じゃあ問題ないよ!^^」と言われたり。(問題あるから言ってるんだよw)
アメリカの全ての楽器店がフリーに試奏が出来るわけじゃないだろうし、海外でも日本のような楽器店もあるので一概には言えないけど、Sam Ashのお店を見て「こういうのいいな。日本にあったらいいのにな」と思ったのも事実です。
「Sam Ash」などの海外の楽器店を見て感動して始めたのがMusic Lifeというお店
【余談】ここで見た色々な楽器や備品の値段があまりにも安くて「財布に負担がかからず手軽に始められる・続けられる環境があるからアメリカの音楽のレベルの高さの理由かも」と考えて帰国してから始めたのがMusic Lifeでもあります。
楽器の試奏料を徴収する楽器店のデメリット・問題点
楽器の試奏料を徴収することでデメリットや問題も出てきます。
来店客が減る
試奏目的で来店するお客さんが存在していて、「試奏=有料」となり来なくなる可能性もあります。
中には「試奏させてもらったからピックや弦を買う」という人もいるので(知り合いには結構いる)、そういう方々が減った場合は最終的にマイナスとなる場合もあり得ますよね。
試奏料以上に備品を買ってくれたり、お世話になっているからと大きな買い物をしていた場合は大きな損失。
「得意客だから試奏は無料でいいよ」としたら見かけた人は不満を持ちそうだし。これもあらたな問題ですね。
試奏料でお金を取るからには楽器はしっかりとした整備が必要
試奏料を取るからには「試奏に適した整備」が必要となるかも。
試奏させて頂いた時にも正直「弦が錆びてるじゃん」とか「これネックめっちゃ曲がってる」「整備不良でコードの音がグシャグシャ。ハーモニクス調整ちゃんとやってよ」とか思ったことがあります。
でも「無料&試奏させてもらっている」からそこまで強く言えない部分でした。
もし試奏料を取るならこういった不備があってはならなくなるかもしれないですね。
クレームが来るかもしれない。
お金を払って試奏するのに弦が錆びてたら「お金払ってるんだけど。。」と思う。
これは結構面倒な事になりそうですよね。
お店側の負担が増える事にもつながるかも・・・。
調整・整備の時間や弦の交換のお金も。。
【おわりに】楽器の試奏料を徴収する楽器店は良いか悪いか? 試奏代はしょうがない!
賛否両論ある楽器の試奏料ですが、僕の考えとしては「試奏料を取るのは有り」です。
大賛成ではなく「それもしょうがないのかもな。」という気持ちで有り。
でも本当の気持ちとしては「試奏は無料がいいな」ですね(笑)
有料化の流れが日本全国に広まったらちょっと悲しい。
今は僕自身が大人だからいいけど、高校生でギターを始めて、島〇楽器さん、IK〇BE楽器さんなどの仲良い店員さんに色々と試奏させて頂き教えてもらったからこそ今があると思っています。
こういう接点が減ってしまう可能性があるのは少し寂しいかな。
あと高校生やお金のない時期だったらかなり厳しいですね。
とはいえ今はしょうがないのかなとも思っています。
有料になったとしても、整備された完璧な機材を使えるようになれば最高ですよね。
あと15分とかの時間制で何本・いくつも試せたらお金払うのも有りかも。
メリット・デメリット色々あるけど、こういう問題は難しいですよね^^;
正解はないのでそれぞれがお互い気持ち良く存続できるようになれば理想ですよね。
試奏料がないお店では試奏させて頂いたら弦やピックなど購入するのも良いのかも?
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