いきなりですが、僕はフジファブリックの志村正彦の歌がとても好きです。
でも、彼の歌は・・・
下手です。
CDだと修正などもありまともだけど、ライブだと音程がとれていないことがとても多い。
下手・・・だけどとてつもなく良いんですよね。
「下手だけど良い」
という部分が音楽においてとてつもなく重要な部分だと思いました。
自分の考えを書いていきたいと思います。
こんな考えもあるんだな~と捉えてもらえたら嬉しいです。
フジファブリック 「若者のすべて」 Live at ryogoku kokugikan
まずはフジファブリックの中で僕の大好きな曲「若者のすべて」を聞いてみてください。
・・・
歌が下手なんですよ。
サビとか音程が上がりきってない。
カラオケの採点システムとかで見たら確実に減点対象となる音程です。
志村さん(ボーカル)の歌の下手さはYoutubeコメントを見ると分かるけど、ファンの方も分かってる。でも、みんな好きで感動している。
他の方が歌っている動画もあります。
若者のすべて 奥田民生×斉藤和義 ×山内総一郎
先程の志村 正彦さん(ボーカル)は2009年に亡くなっています。
それからもフジファブリックというバンドは存続していて、ギターだった山内総一郎さんがギターボーカルとして活動しています。
下の動画は奥田民生×斉藤和義 ×山内総一郎というすごいメンバーによる「若者のすべて」。
山内総一郎さんは志村さんよりも音程も良いです。
確実に志村さんよりも上手い。
藤井フミヤ「タイムマシン~若者のすべて」
「若者のすべて」を藤井フミヤさんも歌っています。
藤井フミヤさん上手いしカッコイイ!
槇原敬之 - 若者のすべて(フジファブリック カバー)
マッキーも流石!!
Bank Band - 若者のすべて (フジファブリックのカバー ) - ap bank fes 11 LIVE
Bank Band&ミスチルの桜井さんも流石!
音程が合ってなくても感動させられる
現ボーカルのフジファブリック山内さん、藤井フミヤさん、槇原敬之さん、ミスチル桜井さん。
どなたも個性があって自分の持ち曲のように染める事ができてるし、何より安定していて上手い。
音程や声量を見ると志村さんより確実に上手い方々です。
僕は志村さんバージョンが好みです。 志村さんが亡くなったから感動するというのも無くはないです。
どの歌が好きかどうかは好みなのでどれでもOKです。
でも、不思議なのは志村さんの「あんなに音程が取れていないのに多くの人を感動させられている」という点です。
僕が知ったのは志村さんがいなくなってからだけど、志村さん在籍時で既にかなりの人気がありました。
アルバムも3枚?出していたしね。
それは亡くなったという要素を無くしても、音楽的にはよろしくないと評価される「あの音程でも」多くの人を感動させられていた証拠です。
好みは人それぞれだとしても、多くの人を感動させたのは事実としてあります。
音楽は「上手い=感動できる」ではない
僕はギタリストとして活動していますし、ギター講師もしています。
歌にしろ楽器にしろ、テクニック面はとても大事です。
歌だったら「音程を外すな。リズムをキープしろ」、楽器でも「音程は大事。難しいテクニカルなモノもできるようにしろ」みたいな。
ギターでは弦を上げて音程を上げるチョーキングという技もロック系でよく使われるけど、音程が合っていないととてつもなくダサイ。 レコーディングでは音程が合っていないのは確実に使えないです。(勢い重視は除く)
音楽において音程は本当に大事なのでこれは最重要項目とも言えます。
音程が取れているに越したことはないです。
というか、むしろ音程が完璧とは言わないまでも"ある程度"違和感がない範囲で取れるのが音楽家の最低条件でもある気がします。
だから基礎能力はとても大事。
プロを目指す人もしっかりとした基礎を築くのが重要ですよね。
だから多くの人が「上手くなること」を目指して日々練習をします。
でも、素晴らしい基礎能力を持っていたとしても感動できない人もいます。
など思ったことありませんか?
そういう「上手いんだけど・・・」という人いませんか?
音楽的に上手いに越したことはないんですよね。絶対。
上手いことで文句を言われることはほとんどないはずです。
でも、
上手い=感動できる
ではないんですよね。
人を感動させるのに一番大事なのは音程や声量とかテクニック面の上手さではないんじゃないかな?
多くの人が上手くなりたいと技術を磨くけど、実はそれだけではないんじゃないかなと思うんです。
上手くなることで、マイナス面を減らして感動しやすくできるというのがあります。
でも「上手ければ感動させられるわけではない」。
下手なのは多くのことを取りこぼすことになる可能性があるけど、「下手だからといって感動させられないわけではない。」。
「上手くなければ感動させられない」のであれば、フジファブリックの志村さんの歌はこれほどの人を感動させられるわけがないはずですから。
だから、感動させるための必須条件として「上手い」ではないんです。
上手くなることで可能性や確率を上げられる事が出来るけど、100%の確率で感動させられるというものでもない。
人を感動させるのに一番大事なのは音程や声量とかテクニック面の上手さではないんじゃないかな?
それでは何が重要なのか?
フジファブリック志村正彦のスゴさは表現者としてずば抜けていること。
僕が考える感動させるのに必要なこと「曲への理解力と表現力」です。
曲が何を求めていて、求めている事に対して合わせることが出来る表現力を持っているかどうか。
これが鍵なのではないかと考えます。
最初の志村さんの歌は下手ではあるけど、あの下手さが曲ととてつもなく合っているんですよね。特に歌詞。
また志村さんのキャラや歌い方・声質まで全部が合っている。
もちろん志村さんが作曲をして本人が歌っているので、一番曲を理解していて一番曲が求めていることを理解しているので合うのは当たり前。
だから僕は志村さんのライブでの歌が「若者のすべて」に最高にあった表現だと思っています。
もうね、エヴァでいうシンクロ率100%なんですよね。
100%理解しているからこそ伝わるんだろうし感動させられるんだと思います。
僕の考えだと藤井フミヤさんは上手いしカッコいいけどカッコ良過ぎるんですよね。
マッキーも上手いけど優しさに溢れすぎてるし落ち着きすぎてるんです。若者のダッシュ感がない。
桜井さんもカッコ良過ぎる。アレンジも含めて元気過ぎる。
(これはあくまで「若者のすべて」においての話しで、それぞれの持ち曲ではやはり本人にしか出せない色があります)
僕はフジファブリック歴は浅いけど、志村さんの表現者としての能力はずば抜けていると思います。
その能力が高過ぎるからこそ、自分の世界を表現できて、歌の下手ささえも味にしてしまっていると感じています。
上手くても曲の理解力と表現力がないとつまらなく感動できない
世の中には「上手い」という人は山ほどいるけど、その上手い人達でも曲の理解力と表現力がないとつまらなく感動できない。上手いのにね。
「上手いね~」で終わってしまいやすい人は案外こういう部分が足りない可能性もあります。
テクニック面で優れた人ほど陥りやすい傾向にあると感じています。
上手いと良いはまた別のお話。
でも曲への理解力や表現力など鍛えるのが難しいんですよね。。
僕もまだまだですし。
以前「表現力を高める方法」について友人の作曲家さんと話した内容をブログにまとめたので是非こちらも見てみてください。
下手なだけなのはダメ
こういう風に書いていると「そうだ!音楽は気持ちだ!想いだ!!」「上手く弾けなくても伝わる!」という人もいると思いますが、僕としては「下手なだけなのはダメ」とさえ思っています。
ちなみに楽しむだけなら何でもOKです。
たしかに下手でも伝わることもあるし全てが悪いわけではないです。
でも不快と思わせる確率も多いです。
下手なままで最高と評価されるには、天才的な表現力と曲の理解力がある人だけだと個人的に思います。そして下手な人でそれが出来るのはごくわずかだと思っています。
なので、下手と思っていて良い音楽にしたい場合は上手くなった方が良いです。
全体のクオリティも上がるし、伝えたいことが伝わりやすくなります。
上手い人もそのまま練習してさらに上手さを追求した方が絶対良いです。
そのうえで曲への理解力や表現力を身につけたら鬼に金棒。最強です。
曲への理解力と表現力が音楽には一番大事。
色々と僕なりの考えを書いてきました。
書いてきたことをまとめると次のようになります。
まとめ
- 「上手い=感動できる」ではない
- 曲への理解力と表現力が音楽には一番大事。
- テクニック面で下手でも感動させられるが、上手いに越した事はない。
- しっかり練習はしよう
すんごい当たり前のようなことしか書いていないけど、とても大事な事だと思っています。
テクニック面で優れた人が良いわけではないのが音楽の難しいところでもあり面白い所ですよね。
でもテクニック面で優れていた方が良いのは確実です。
でもでもテクニック面だけ鍛えても「良い」にはならない可能性もある。
難しいですね~(笑)
難しいテクニックも鍛えておくと良いですが、まずは音楽の基本、「リズム」と「音感」は鍛えておいた方が良いと思います。
今回はフジファブリックの志村さんの歌を聞いていて感じた事を書いてみました。
ファンの方にも下手と言われながらもここまで愛されるのも良いですよね。全部含めて好きな気持ちが伝わってきます。