先日Twitterで感動したツイートを見ました。
「マネタイズ戦略――顧客価値提案にイノベーションを起こす新しい発想 」という本に書かれている、Netflixの広告・宣伝の手法です。とても素晴らしい方法でした。
Netflixは「Amazonプライム」「Hulu」などと同じ映画・ドラマ・アニメが見放題のサービスです。
デフォルトを取りに行くことで、全てを押さえることができる。
かっけーよなコレは pic.twitter.com/i8oosl4LxN
— アチク (@_achiku) 2018年7月22日
画像の内容はこのようなものでした。
「たとえば、日本の例を示そう。ネットフリックスが日本に参入した2015年、国内のネット対応テレビの出荷が250万台とされていた。ネットフリックスは、主要なメーカーに対して働きかけ、ボタンを入れてもらえれば、リモコンの製作費を 10%負担すると申し入れたのだ。各社のリモコンの製作費はおよそ100円なので、その費用は額にして1個あたり10円。
少しでもコストを削減したい家電メーカーは、このオファーを当然に受け入れた。なおかつ、メーカーにとっては、ネットフリックスが入っていることを売りにもできる。現在は、ネットフ リックスにつながらないテレビ自体が劣っているようにも見える。それほどに、今ではリモコンに入っていて当然の存在となっている。
ネットフリックスは日本の市場をとりにかかった。その費用は推計でわずか2500万円である。 先述の通りすべてのネット接続テレビが250万台として、1個あたりに10円を支払った計算である。それは、年間のマーケティング費用として6000億円を計上している同社には、まったくとるに足らない費用であった。
「このようにテレビ局は、オリジナルコンテンツの制作、そして「リモコンでの同居」という同じ競合条件にありながらも、まったく異なる価値提案をするネットフリックスのサービスと横並びで戦わなければならない。
そのまったく異なる価値提案を成立させている のが、同社のマネタイズのあり方である。
図表4-3 家電各社のリモコンの好位置にネットフリックスボタンが配置される
このツイートを見た方の発言も秀逸。
デフォルトを取りに行くことで、全てを押さえることができる。こういう発想をできる人を増やさないといけない>RT
— すげ (@ssuge) 2018年7月22日
デフォルトを取りに行くことで、全てを押さえることができる。こういう発想をできる人を増やさないといけない>RT
広告・宣伝をプラットフォームを奪う場所で行う
ネットフリックスの方法は頭良いですよね。
通常「広告」といったら、TV・雑誌・ネットなどにバナーやテキストを張り見てもらうという手法で何千万、何億円とかかります。
しかも、この費用は一時的なもののため長期間の露出をするためにはさらにお金がかかります。
ネットフリックスはそこにお金をかけず(広告とは平行で?)、プラットフォームを奪いに来た。
TVを見るために使うリモコン。
最近ではTVを視聴するだけでなく、PCや映像デバイスのモニターにする人もいるくらい。
そのリモコンに自分達のサービスのボタンを設置させるというのが素晴らしい。
さらに相手に大きなメリットを提示しつつ、自分達が一番メリットを受ける形で契約を結んだのは本当に素晴らしい。
たかが2500万円で新しくTVを買った人には確実に宣伝することができる。さらに数年はアピールし続けることができる。
リモコンというプラットフォームを抑えたからこそのマネタイズ。
リモコンからの導線を作るとは考えもしなかったです。
本当に驚きました。
今ではリモコンのプラットフォームを奪い合う状況に
ネットフリックスのリモコン一等地を奪ったのは2015年には確認がされてるそうです。
今のリモコンはどうなっているの?
というと、こうなっています。
NTFLIXだけでなく「Hulu」はもちろんU-NEXTやAbemaTVなどのボタンが配置されています。
これは「ソニーBRAVIAの新リモコンが結構凄い。HuluやAbemaTVボタン搭載の狙い」という記事に書かれていました。
ソニーは8日、薄型テレビ「BRAVIA」を一新し、4K有機ELテレビ「A8Fシリーズ」や4K/HDR液晶テレビ上位機「X9000Fシリーズ」、4K/HDR液晶スタンダードテレビ「X8500F/X7500Fシリーズ」を6月9日より順次発売する。新製品については別記事で紹介しているが、新BRAVIAの特徴といえるのが「リモコン」だ。
今ではリモコンに動画サービスのボタンがあるのが普通というレベルにはなっているそうです。
それでもマネタイズをするうえで「プラットホームを抑える」という考え方と戦略は一番魅力的な方法だと思いました。
これはTVやリモコンに限った方法ではなく、あらゆることに言えます。
自分のビジネスにおいてどこがプラットフォームで、どうすればそこを抑えられるのか・・・考える良い機会になりそうです。
「マネタイズ戦略――顧客価値提案にイノベーションを起こす新しい発想 」という本がかなり有益な事が書かれている気がします。